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大連レポート

〇吉林省琿春市への出張報告~中国・ロシア・北朝鮮国境地帯を視察して~

2021-01-18

昨年12月に吉林省政府外事弁公室の案内で、中国・ロシア・北朝鮮の三カ国の国境が接する吉林省琿春市を視察する機会がありました。この視察には当事務所をはじめ、宮城県、神奈川県等の大連事務所が参加したほか、宮城県の関連企業も参加しました。

琿春市を始めとする同地域は、新潟と中国東北部とを結ぶ最短ルート上にあり、日中間をつなぐ今後の物流の窓口となる大きな可能性を秘めた地域であることから、吉林省や琿春市では同地域の経済振興を図るため、様々な優遇策を含めた各種取組を進めています。

琿春市では、ロシア、韓国、日本等の5カ国を貿易相手国と想定し、中国政府の認可を得て、国境都市間の貿易である「国境貿易区」を推進する優遇措置を導入しています。珲春市戸籍を持つ住民を対象に1日8000元までは関税・各種手数料なしで外国製品を輸入(購入)できる優遇策を付与しており、一般貿易と比べ大幅にコストを削減して外国製品の調達が可能となるとのことです。また、保税区を通じて調達した原料品を加工・販売する際の税負担軽減も導入しており、国境貿易の拡大を通じ、物流拠点化を目指すとの説明がありました。

そのため、今回の視察参加企業からは、こうした優遇策を活用し、日本からの製品輸入のコスト削減を図ることが出来ないか等について、真剣な質疑応答が交わされていました。

また、国際物流拠点化を見据えた取組について、同市航務局長から具体的な取組の紹介がありました。琿春市は独自の港湾を持たないため、ロシア港湾を経由した物流網の形成に取り組んでおり、ロシア経由での内航輸送の強化を図っているとのこと。既に中国沿海部各地の13港との間に航路を開設し、物流拡大に取り組んでいるとの説明がありました。

ロシアとの合意により、ロシア港湾を経由する貨物であっても、無通関で輸送ができるとのこと。こうした取扱いは、外国との貿易貨物についても同様で、ロシア港湾では無通関で輸送が出来るとの説明もありました。

但し、日本をはじめ外国との航路開設・運航には、貨物量確保等の多くの課題があり、そうした課題を克服することが重要であるとの説明もありました。特に安定した航路運航のためには、貨物量を確保することが不可欠であり、航路開設に向けては、それぞれの地域での貨物の掘り起こしが重要であり、新潟との航路開設を目指し、今後とも緊密な連携をお願いしたいとの要請もありました。事務所としても、新潟・吉林省双方での意見交換等を通じて、引き続き、相互交流の拡大に取り組んでまいります。

なお、琿春市は上越市と友好交流を行っており、新潟に行ったことがある人、新潟を知っている人も比較的多く、地道な交流の積み重ねの大切さを改めて実感したところです。

     

写真左:中露朝国境地帯(日本海まで約10kmの距離 ※当日は肉眼でも確認できました)

写真右:琿春市資料(航路就航想定先として、新潟港も明示されています)