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大連レポート

〇中国における日本食事情 ~「中国向け食品販路開拓セミナー」受講を通じての考察~

2021-02-18

1月27日、県産業政策課主催で標記セミナーが開催され、当事務所もオンラインで受講しました。新潟県から中国への食品輸出は、現時点ではまだお米だけしか認められていませんが、14億人を超える人口を有する中国では日本産食品に対して、安心・安全との根強い信頼感があり、経済発展に伴う購買力の拡大を背景に、日本食品、日本食に対するニーズがますます高まっています。

今回のセミナーの中では、中国人の多様な食文化への関心に応えるため、日本料理、西洋料理、韓国料理等、様々なジャンルのレストランが進出し、食事の多様性を支えているとの紹介がありました。その中でも、日本料理・和食へのニーズは今後もさらに拡大していくとの指摘がありました。

中国には日本料理店が数万店あると言われていますが、実際にどれだけあるかは正確には分かりません。遼寧省飲食業協会日本料理専門委員会主席のお話では、(日本人が殆ど行くことがないような)地方都市にも日本料理店は開店しており、各地域の人々の日本食に対するニーズを支えているとのことでした。

現在、中国最大の口コミサイト「大众点评(大衆点評)」で検索すると、上海、北京等の日本料理店には、客単価が2000元、3000元(※1元=16円程度)を超えるような富裕層を対象とした超高級店があります。その一方で、一般中国人をターゲットとした低価格が売りの日本式料理店もあり多種多様です。中国国内で日本食への関心が高まっているこのタイミングを逃さずに、新潟の食の魅力を売り込み、発信していくことを通じて、今後の中国向け輸出再開を見据え、県産食品の中国での市場開拓・ブランド向上に繋げていくことが重要と改めて感じました。

また、セミナーの中で、中国向けのアルコール飲料の輸出が急拡大していることが紹介されました。実際、中国各地の日本料理店では客層を問わず、何れの店舗でも日本酒の「獺祭」が店頭に並んでいます。販売価格は4合瓶で1000元を超える銘柄も多く、面子を大切にする中国人は値段を気にせずに注文するそうです。この「獺祭」が中国全土に普及したのは、的確なマーケティングを行い、一気に市場を獲得したためとのことです。それ以前は新潟の「久保田」、「八海山」の独断場だっただけに、県産食品の輸入禁止措置の影響が残念でなりません。ただ、今でも、新潟の美味しいお酒を扱いたいと話す料理店のオーナー・料理人も多いことは嬉しい限りです。

新潟清酒に対する期待はまだ継続していますので、こうした期待をうまく掬い上げて今後の取組に繋げていくことが重要と感じています。新潟のお酒を大切に扱ってくれる店舗等と連携し、このお店でしか飲めない等の付加価値を高めて、販売を行うことが出来れば、新潟清酒の魅力を高めながら、市場開拓に繋げることが出来るのではないかと考えています。県産食品の輸出再開が何時になるかまだ分かりませんが、今はそうした関係者との関係作りに取り組んでいるところです。

因みに、中国向けの焼酎輸出はあまり芳しくないとのことです。貿易業者の方に伺うと、中国にはアルコール度数の高い蒸留酒「白酒」があるため、日本の焼酎は物足りないとの反応が多く、焼酎等を活用した果実酒(リキュール)を中心に売込んでいるとのことです。